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日々の生活から気になる事柄やものたちを、日記を通して紹介していくサイトです。水曜日には「やわらかい英文法」と題して、英語に関することを載せています。(平成23年3月現在)
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  空が明るくなりだした。
その時間帯によって 降り方にいろんなバリエーションを見せてくれた昨日の雨は、昨日という一日の時間を 数日間の時間経過に勘違いさせてくれるほどだった。

 早朝は、しとしとと 静かな雨だった。
駅まで車を走らせ小学校付近にさしかかると、小さな小学生たちを覆う色とりどりの傘があじさいの花のように身を寄せ合い、雨の景色に明るさを添えていた。

 この景色なんか見覚えがあるぞ。 そうだ。岩崎ちひろさんの淡く美しい水彩画だ。レインコートと長靴をはいた子供たちが、色とりどりの傘をさしている。そんなにぎやかな様子なのに、それが自然としっとりとした雨の景色に溶け込んでいる。私の中によみがえった美しい記憶の中の絵は、どこまで本物に近いんだろうか。

 岩崎さんの世界の「雨」も私のお気に入りであるが、特筆すべきは、「あかちゃんのおしり。」 その柔らかな線に魅せられていると、やさしくてあたたかな気持ちに満たされている自分にはっと気づく。

 大人になってからも衝動買いのように絵本を買うときがある。
朝日新聞朝刊に連載されている 川上弘美さんの「七夜物語」の挿絵を担当されている酒井駒子さんの絵が好きで、何冊か持っている。

 「くまとやまねこ」では、くまさんの大好きな友達であったことりさんの亡骸が、ちいさな箱に敷き詰められた花のうえに横たわっている場面がある。

 モノクロの絵に釘付けになりながら、あたりの空気がひんやりと清らかになっていったのを覚えている。

 「死」とは、清らかなものなのかもしれない、と思えた瞬間だった。


 普段は聴くことのない種類の音楽が、部屋に流れている。

 先週、悲しいきっかけで15年ぶりくらいに再会した高校時代の先輩、きよみさんからもらったCD「えんそく」だ。

 実は、「故 山本直純さん」のご子息の純ノ介さんときよみさんはご夫婦で、純ノ介さんも私のひとつ上の先輩なのだ。

 この「えんそく」は、40年前に直純さんによってつくられた 児童合唱と管弦楽のための組曲で、直純さんの指揮によりNHKの児童合唱団によって歌われていた。

 40年の月日を経て この「えんそく」がCDとして復活した背景には、なんとも運命的な事の成り行きがあるようだ。

 ライナーノートを読むと、当時の合唱団で「えんそく」を何よりも楽しく歌っていた宮原麻子さんが その後音楽プロデューサーになられ、純ノ介さんの協力のもと その復活に尽力を注がれたようだ。

 昭和の真っ只中に愛され歌われた組曲が、40年という時の試練に耐え 今またこうやって無関係であった私の部屋で高らかに鳴り響いていること自体感慨深い。

 すべての曲について言えることなのだが、曲の始まり方、メロディー、歌詞、輪唱のスタイル、曲の終わり方・・生粋の昭和っ子である私にとって郷愁を呼び覚ます類のものなのである。

 昭和はよかったなあ。なんて言うべきことじゃない。とずっと思っては来たけど、この のどかで明るい音楽を耳にしていると、つい言ってしまいそうになる。

 CD後半は、直純さんいうところの、世界に誇れる芸術作品、最高傑作の民謡集が組まれている。私は五木の子守歌、大好きなんです。

 それにしても、故 山本直純さんの文章のうまいこと。
私の持っていたイメージとはちょっと違っていたので驚いた。

 文章に勢いがあるにもかかわらず緻密さを併せ持っている という感じ。
なるほど・なるほど・・とすべて納得してしまうのだ。

 そう言えば、直純さんのお孫さんにあたる きよみさんの娘さん。「泣かせるエントリーシートを書くのよ、あの子。」と母親に言わせるところをみると、直純さんから純ノ介さんに、そしてその娘さんにと才能がきっちり受け継がれているのだろう。
 
 力演や熱演は名演であり得ない。然し、力演や熱演は、名演への糸口たりうるのだ。直純さんの名言です。

 大きいことはいいことだ。と自分の背丈なんて無視して飛び跳ねて、指揮棒を振っていた直純さん。寅さんの、邪悪なものを吹き飛ばしてしまうような青空に突き抜けるメロディー。

 今になってファンになりました。あなたのメッセージ、今しっかり受け止めています。

 
「そうだ、京都に行こう。」

 お馴染みのこのコマーシャルはなかなかの影響力で、聞くたびに本当に京都に行きたくなるほど。 この季節の嵐山はさぞかし美しいでしょうから。

 その楽しみはもう少し後にとっておいて、今できるささやかなことを探しては慎ましく暮らしている。であるので・・・

 「そうだ。源氏物語を読もう。」

 ふとそんなことを気まぐれに思いついたら、ちょうど林望先生の「謹訳 源氏物語」がタイムリーに新聞広告されていて、ごく自然な流れで買い求めた。

 これがめちゃくちゃ面白い。

 違和感なくはいりこめる現代語訳でありながら、古典の言葉の美しさが随所に散りばめられ 何ともなめらかに物語がすすむのである。

 原文もあわせて買ったので、謹訳を読んでは古典を読み という楽な古典の楽しみ方で無理なくページが進んでいる。

 いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたまひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり。

 学生時代に誰もが一度は目にしたであろう、始まりの部分。「桐壺」。

 学生時代の授業風景や教室の匂いを思い出す など、思わぬ楽しみを与えられる一方、読みながら痛感することは、どんな時代でも人間は本質的にはおんなじなんだなあ、ということ。

 「ははき木」の中で、光源氏を交えた男どもが興奮気味に語り合う 女の品定め は、男社会が前面に押し出されているにもかかわらず、普遍的な真理をついているところがあって面白かった。

 こうやって楽しみながら、全巻読んで行きたいな。

 ところで わが息子は そうだ、京都に行こう。どころか、昨日からイタリアに行っています。

 料理のオリジナルレシピコンテストで優勝して、副賞が嘘みたいだけど本当で、イタリア。      やむごとなき際にはあらぬ我が家では驚きの事態。

 思い切りカルチャーショックを経験して、無事に帰ってきて欲しい。

 
  NHK受信料を喜んで払っているわけではないが、NHKしかこんな番組、創れないしなあ・・と納得することもままある。

 ドキュメンタリーは言うに及ばず、数々のドラマの中で、「これはいい。」と唸るような声で言いたくなる時があるのも事実。

 数日前に放映された、芸術祭大賞ドラマ「火の魚」が、私にとってまさにそれだった。

 男性と女性は、男と女の部分でのみ接点を持つこともできる。という事実がある一方、さまざまな要素で惹かれあい、多くの接点でつながりあう関係こそがやはり美しいのね。そんな風に思わせてくれるドラマだった。

 私の年齢も関係しているのか、純粋な恋愛ドラマよりも 人間的でちょっとひねりのある年齢を超えた男女の結びつきに心引かれる。

 人気小説家の編集者を演じていた「尾野真千子」さんが素晴らしかった。他にどんな役をやっているのか興味を持って調べたら、なんと河瀬直美監督の「萌の朱雀」の中でミチルという娘役をやっていた。

 若さゆえの苛立ちやちょっぴり身勝手な純粋さが、ミチルの視線や身体から たちのぼってくるようだった。
まさか同一人物とは。お見逸れしました。

 そういうわけで、結構NHKを利用している私にとって 受信料は元が取れている気がします。
 お行儀悪くあぐらをかいて座っている私。
と、ハルはどこからともなくやって来て、足のわっかにすっぽり収まりその身をゆだねる。

 ソファーに寝転がっている時には膝の上がベッドに、手を伸ばせば腕があご載せ用の枕に早代わり。実は私は、ハルが私の体をそうやって使ってくれることが、すごく嬉しい。

 ハルの重さは愛の重さだ。 体だけでなく心のツボにやんわりと効いてくる。

 犬を飼いたいと思い始めていた4年前、本屋さんをぶらぶらしてたら、ある本に目がとまった。 拉致被害者の蓮池薫さんが翻訳した、「ハル 哲学する犬」という本だ。その場でぱらぱらとページをめくり、挿絵のあまりの可愛さに衝動買いをした。

 先日、その訳者である蓮池さんがゲストの回の、「百年インタビュー」をテレビで見ることができた。蓮池さんがインタビューに答えている部屋の背景に、何冊かの自身の訳書が置かれていた。

 その中に、本の装丁としてはめずらしい黄緑色の本があることにすぐに気づき、なんだか嬉しくなった。

 「絆」と「希望」とは、蓮池さんがインタビューの中で何度か繰り返されていた言葉だ。蓮池さんによって発せられるそれらの言葉は、より重みと深みを増して私のもとに届いた。

 「ハル 哲学する犬」の中に心に残るものがある。

 もしも あなたと私、おんなじ星をみていたら、あの星で会っていることになるんじゃないのかな? というような詩。手をのばすのではなく、心を伸ばしてみよう。と詩は続く。 

 同じ時代に生きている今、あなたの言うとおり、あなたの歌の中にあるように、そうやって私は空を眺めようと思う。

 「はりねずみの愛情」というのも好きです。
あなたに痛みを与えないように距離をおいて見守る、はりねずみの愛情。

 「雨音」では・・・振る雨が、落ちる場所によってその音色や響きが変わるように、人が誰かと出会うとき 自分の音色は相手によって違うものになる・・・というような詩。誰かと会うとき、いったい自分はどんな音をだしているのだろう。と結ばれる。

 ハル は、韓国語で 「一日」という意味だそうだ。

 小さな尊い命である私の愛犬に、一日一日を、一緒に大事に生きていこうね。 という思いで、  「ハル」と名づけた。
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