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日々の生活から気になる事柄やものたちを、日記を通して紹介していくサイトです。水曜日には「やわらかい英文法」と題して、英語に関することを載せています。(平成23年3月現在)
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もしも自分の愛する人が、命にかかわる重病のため緊急手術を要し、高額のお金を工面しなくてはならない状況に直面したとしたら、人はどう行動するのだろう。

 映画「やわらかい手」のマギーは、孫の命を助けるためにやむなく性産業の世界に足を踏み入れる。それまで目覚めさせる必要のなかった”黄金の手”を使って、彼女はその世界で頂点を極め、息子夫婦と孫の 病院までの渡航費用、そして手術代を稼ぎだす。

 そこへ行き着くまでの彼女の葛藤 苦悩 諦観 達観は、それぞれのシーンで彼女の表情や身体からじみ出ている。

 マギーのやっていることは、大きな声で言えるようなことではないのに、彼女を美しいと感じるのはなぜなのだろう。

 それは多分彼女が、いつのときでも大事なものは何かを把握し、それを軸に余計なものをそぎ落としながら潔く生きているからだと思う。

 彼女の魅力は、言葉より多く語るあたたかいまなざしであり、そして時にそれが人間のうわっつらを見通してしまう鋭いまなざしに変わることである。

 人がさげすむようなことを経験したからこそ、またその世界の人たちと人間的なかかわりをもったからこそ、彼女のものの見方がよりゆるぎない焦点をしぼりだす。


 この映画も、今はなき筑紫哲也さんが番組でお勧めの映画としてあげていたもの。
私は、実際のテレビ番組は見損ねて、後々本を読んでいて知ったのだ。

 筑紫さんはどういう解説をしていたんだろう?
 10代後半からコンタクトレンズのお世話になってきた。
最近気になることがあったので、久々に眼科の門をくぐる。

 と、コンタクトはこれ以上しないほうがいいですよ。とピシャリと言われてしまった。30年が限界なんですって。

 どうしても必要なときは、使い捨てのソフトレンズを使い、それ以外はめがねで過ごすことになった。

 なのに、めがねを日常的的に着けていることに慣れそうもなく、つけずにぼんやりとした世界で過ごす時間が多くなっている。

 数日前に、偶然以前に観たことのある映画 ”めがね ”がテレビで放映された。特別感動したわけでもないのに、ハードディスクに録画したそれを 観た後消さずに置いといたのには理由がある。気持ちがせかせかしたりイライラしたときに観ようと思ったからだ。

 出てくる大人は、なぜかみんなめがねをかけている。美しい海と自然に囲まれた宿に集う人たちは、たそがれる のが得意な人たちだ。

 流れる時間が、私の知っているそれとははっきり違う。効率とか要領とかいう言葉は存在しない。んだろう。観光という言葉に対しても首をかしげたくらいだから。

 一連のこのシリーズは、食卓が大いに活躍し、食べ物がホントおいしそう。かもめ食堂に出てきたシナモンロールに私は思い切りやられてしまい、あの後何度自分でシナモンロールを作ったことか。

 めがねをかけなきゃならなくなったのは少し気が滅入るけど、もしも あのゆったりとした時間が流れる世界において、めがねが必要条件のひとつであるならば、むしろ喜ばしいことなのかもしれないね。
 主人は大学時代ロックバンドのギタリストだった。
同じ音楽サークルで出会ったことが、今年で25年目の結婚生活につながったんだ。

 ただし、サークルに入らないと大学もつまらないだろう。というようないいかげんな私の動機とは違って、彼のほうはかなり本気で音楽に入れ込んでいたんんだと思う。

 あっという間に時は経ち、子供も成人を迎えた。仕事の忙しさが音楽への情熱を消耗させたこともあったのかもしれない。ギターに触れる時間も年々少なくなっていた。

 ところがだ。今年になってバンド再結成のお誘いが突然舞い込んだんだ。

 なかなか実現するのはむずかしいんじゃないのかな。と私が思ったのはただの杞憂に終わり、実際スタジオでの練習も数回重ねることができた。

 おととい、息子が一緒にスタジオに行ってみたいと言い出し、父親がエレキギターを弾き鳴らしているのを不思議そうに見ていた。

 後でほかのメンバーに「親父どうだった?」と聞かれて、かっこよかった。と言った。照れくさいことを素直に口にした息子に、私は少しばかり驚かされた。

 30年近くの時を越えて、あの頃聞いた音楽を目の当たりにして私自身も感慨深いものがあった。

 でもよかった。。。彼自身で選んだ道とはいえ、あまり性に合わない長年のサラリーマン生活に 心身ともに磨り減らされているのを見ていると、罪悪感を感じないわけにはいかなかったものだから。

 これからは少しづつ自分の好きなことに移行していってもらいたい。そういう環境が整わなければ無理だけど。私もなんとかしなきゃ。

 でもエレキギターは重いらしいのよ。体に応えるって。やっぱ若い人のものなのかなあ。でもジェフベック、現役でまだまだ進化してるし。がんばってもらいたい。

 それにしてもボーカルのマリはかっこいい。
3人の子持ちに見えないし。半世紀生きてきたなんてとてもとても見えない。

 バンド仲間の娘さんに20代に間違えられたのも納得いくぐらい。
ロッカー恐るべし。だ。

 来年はライブもするみたい。ほんと楽しみ。
 私の好きな人達がこの世を去っていく。

テレビの画面やステージ上の彼らを一方的に見る側の私。
筑紫哲也さん、忌野清志郎さんの訃報もメディアを通して確かに聞きました。

直接的な交流のない私にとって、彼らの言葉や音楽は、生前であってさえも遺言のように届いていたのです。

事実上遺言に成り代わってしまった彼らの言葉や音楽を、私は変わることなくこれからも吸収し続けます。

 筑紫さんの愛した本 というコラムの中に並べられていた茨木のり子さんの詩集
私が持っていた詩に対するイメージ、それによって詩の世界から遠いところにいたの
かもしれない、その薄っぺらなイメージがぶっ飛んだ。
 
 なんと小気味よく、可笑しく哀しく、静かに尊大なものを語るのだろう。
日常にころがっている小さな物事にそっと扉をつけて、そこから広がる果てしない世
界にいざなってくれる言葉の数々。

 小さな子供でもわかるような言葉で編まれた平易な文章の背後に、永遠の時を 底知れない悲しみを 紛れもない真実を 静かに澄み渡る人の想いを、感じさせてくれる。

 いい映画だったな。と思った「理想の人」も、後で筑紫さんのお気に入りと知って、うれしくなったり。 一方的な交流は、続きます。
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