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日々の生活から気になる事柄やものたちを、日記を通して紹介していくサイトです。水曜日には「やわらかい英文法」と題して、英語に関することを載せています。(平成23年3月現在)
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 今や「昭和」は「レトロ」と置き換えられるほど、遠い昔になりにけり。

 昭和30年代に生まれて、子供時代を過ごした人たちに、夏の飲み物と言ったら何?・・とたずねれば、カルピスは手堅く上位にくいこむことだろう。

 先日の日曜日にスーパーでカートを押しながら、買い忘れをしないようにと、私はあちこちきょろきょろしていた。そうだ、にんじん買っとかなきゃ。と一袋を手にとり、買い物かごに向き直ると、懐かしい白地に水玉のパッケージが、ひょっこり遊びに来た幼馴染のような顔をして そこに居た。

 犯人は主人。
同い年の彼も、カルピスに対する思いは同じなのかもしれない。

 永遠に続きそうな子供時代の夏休み。 

どこまでも広がる空間で、太陽と 温度を上げた空気のゆらめきが、長い長い暗闇のセミの沈黙を けたたましい叫びに爆発させる。

 その集約された命ほとばしるせみ時雨の中、小さな私は友達の家へと続く小道を歩いていた。

 冷房など無縁の一般家庭。にぶい音をたてて首振る扇風機。
友達のお母さんが、涼しげな氷の音とともに、お盆をささえてあらわれる。

 汗をかいたコップには氷浮かんだ白い液体。

 ほんとに不思議だったんだ。その家庭家庭で、カルピスの味が微妙に違うのが。
希釈の仕方が違うのか。単純な淹れかたにも、実は微妙なバリエーションがあったのかもしれない。

 バリエーションと言えば、その後少し経って フルーツカルピスが出現し、カラフルなことに慣れていない昭和っ子の私達は、とてもびっくりしたものだ。

 あの頃のカルピスを飲んだ後に残る、舌の上の白い繊維のようなモロモロをもう一回経験したくて、いつもより一センチくらい多めに原液をいれ 必要以上に濃くして飲んでみた。

 でもそこには、さわやかな後味しかなくて、あの洗練とは程遠い まだまだ未開発だらけの隙間だらけの昭和のカルピスは、私の手には届かない遠い場所に行ってしまったことを知った。
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