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日々の生活から気になる事柄やものたちを、日記を通して紹介していくサイトです。水曜日には「やわらかい英文法」と題して、英語に関することを載せています。(平成23年3月現在)
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久しぶりのいとこから来たメールは、おじさんの死を知らせるものだった。

親戚のほとんどが関西で暮らす中で、東京に住むこのおじさん家族が、
私にとって一番近しい親戚だった。

おじさんは、私の母の弟で、自分の母が立派なおじさんに、「姉ちゃん、姉ちゃん」
と呼ばれるのを聞くたびに、くすぐったい気がしていたものだ。

旅行業務のプロとして、長年の海外勤務を終え、帰国後は社長にまで登りつめた
わが親戚一同の出世頭でもあった。

日本語でも英語でも、言葉を自由に操り、ひとたび気配りのスイッチが入ると、
かゆいところに手が届く というよりも、かゆいところを人に感じさせないような
完璧さがある人だった。

ところが、そんなおじさんなのに、彼の家族に言わせると、・・自分勝手 わがまま
好き放題に生きた人、その上さらに悪いことに非常に口が立つ・・・と、形容が180度
変化してしまう。

昨日の告別式のごあいさつで、彼の息子(つまり私のいとこ)は、
「今頃おやじが閻魔様にまで説教して、舌を抜かれているのではないかと心配です。」
と述べたほどだ。

私はおじさんと話すのが好きだった。
ソフトでありながら、心地よく通る声で、周りの人の注意を一身に集めて、どんな話題も
楽しげに屈託なく、人の興味を引くように話してくれた。

晩年、おじさんが私だけに繰り返し言ってたことがある。

「ちいちゃん、僕は年を取っても頭がクリアーなんだ。
今だって若い奴らに負けない自信がある。
でもそれだけに 死ぬのがとても怖い。死ぬ前に認知症でわけがわからなくなった
姉ちゃんがある意味うらやましいくらいだ。」

私にとって、一番死ぬことに似つかわしくない と思っていたおじさんが死んだ。
死ぬことをあれだけ怖がっていたおじさんが死んでしまった。

私の名前を呼ぶおじさんの声が、聞こえた気がした。

いい所取りだけできる、姪という立場を利用して、また彼と同じ血が混じっている
者として、彼の姿勢のわずかでもいいから引き継いでいきたいと思った。

おじさん・・おじさんの死でもうひとつ思ったことがあるのよ。

あのおじさんでもうまく死ぬことができたんですもの。
私だって、誰だって、時が来れば、上手に死ねるということなのね。










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