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日々の生活から気になる事柄やものたちを、日記を通して紹介していくサイトです。水曜日には「やわらかい英文法」と題して、英語に関することを載せています。(平成23年3月現在)
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黒の礼服を互いにまとって、30年ぶりの先輩達に再会する。

 コツンと抜けてしまった欠落の穴を共有しながらおじぎしあうと、遺影の中で微笑む彼の 生きていた大学時代、そして彼のいない今、の間の長い長い30年間を、「あっという間」の点にしてしまった。

 居酒屋で献杯を重ねる。
彼の席を作り 白ワインを満たしたグラスを置く。

 ひょうきんでいつも人を笑わせていた彼のことを、誰かがこう言った。
「・・・・のことを悪く言う人はひとりもいなかったね。」

 みんながうなづく。

 深刻な病床にあってもそのことを伏せて、常に周りに明るく気丈に振舞う彼の傍らで、正直つらかった。と奥さんが言った。

 私は彼のどれくらいの「本当」を知っていたのだろう。
へらへらと、おかしなことを言って笑わせてくれる、あのゆるくて楽しい彼しか知らないのだ。

 ワインのおかわりを重ねていたら、向かいにすわっていた同期のたえが、えんえんと泣いている。

 気が強くって、人一倍元気な彼女が声を上げてびしょびしょになっているのを見ていたら、あったかい気持ちがこみあげて 彼女をずっと見ていた。

 「ねえ、みんな悲しくないの?」 と腫れたまぶたを動かして私を見た。

「悲しいよ・・・・。でもたえがそうやって泣いているの見てると、不謹慎かもしれないけれど、嬉しい気持ちがするの・・」

変なことを言ってしまった私に、ありがとう。と涙声で言い、彼女は続けた。

 「私、きっと最後だと思う。私の時には誰も見送る人がいないかもしれない。そう思うとまた寂しくて悲しい。」と言って、また泣いた。

 私はなんだか彼女を抱きしめたいような気持ちになり思いつきで言ってしまった。

「大丈夫だよ。こちらで送る人と天で迎える人の人数が移動するだけの違いだから。先に逝ってたら温かく迎えるからさ。なるべくここでも一緒に長くいれるように私頑張るし。」

 翌日、お酒が抜けてから、メールで彼女が同じことを言ってきたので、私もまったく同じことを書いて返信した。

 そしたらいつもの彼女らしく 「了解っす。」
と絵文字つきで返事が来た。





 

 

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