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日々の生活から気になる事柄やものたちを、日記を通して紹介していくサイトです。水曜日には「やわらかい英文法」と題して、英語に関することを載せています。(平成23年3月現在)
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例えば、感銘を受けた小説が、ドラマや映画になる。ということはままあることだ。
反対に、いや全く純粋に反対とは言えないだろうが、観ていたドラマや映画に、実は
原作の小説があることを後から知る、ということもよくある話だ。

 カズオ・イシグロの小説「わたしを離さないで」と、その原作から立ち上げられた
現在放送中の金曜ドラマ、「わたしを離さないで」について、シナリオ学校での世間話中に、
先生を囲んでみんなで話が盛り上がった。

 先生と他2名の方は、小説を先に読んで、敢えてドラマを観ないことを選択した
と言う。はっきりとした言葉はなかったけれど、あの小説の中で描かれている世界を、
ドラマにする難しさを考えた時、がっかりするというプロセスを未然に防ぐために
ドラマを観ずに、小説世界で完結しようという意図なのだと思う。

 私はというと、ドラマを先に見出して、少しずつ内容が明らかになってきた頃、
原作の存在を知るという順番だった。

~~シナリオ学校で、話題の小説とか映画について、先生や皆さんから情報をもらうのは
いつものことで、さすがシナリオを書こうとしている人たちだけあって、先生はもちろんの事、
みんなその分野の情報にすごく敏感で詳しくて、私は知らないことだらけでいつもみんなに
教えられています~~

 さて、話を戻すと・・もうすでにドラマも終盤に入って、具体的な内容も明らかになって
いるので、内容に触れても平気だと思うからちょっと触れると・・

 前半のドラマのメインシーンは、英国の寄宿舎のような児童施設の中で繰り広げられる、
子供たちとその周りの大人たちの日常だ。でも何かがおかしい、と見る側はすぐに気づき始める。
ドラマでは、すでに一回目から、彼らが大人になり、手術台に上り、その後の痛々しい大きな
傷跡が大写しにされたりする。

そうかと思うとまた子供時代に戻る。
「あなたたちは人を助ける天使なのです」という先生の言葉。
施設を囲む高い塀には有刺鉄線が張られていて、外の世界から完全に隔離されているという
状況。曖昧にぼやけたまま使われる「提供」という言葉。

ショッキングな事実は、実は子供たちはクローン人間であり、富裕層の人たちが病気になった
時に臓器を「提供」できるように育てられている、つまり人間臓器栽培のようなものだと
いうことが明らかになってくる。大人になった彼らは提供の回数を重ね、内臓がほとんど空っぽ
になった段階でその使命を終えるのだ。
使命を終えること、それはつまり彼らの「死」を意味する。

クローン人間だってちゃんと感情がある。怒り 泣き 笑い、そして恋をする。
でも彼らはどこかで自分の使命を理解し納得しているように見える。いや、感情的には納得し
ていないはずだ。それはまるで召集令状を受け取った若者が、万歳!という掛け声の中を、
微笑みながら歩いていくのに似ている。

シナリオセンターの生徒さんの一人が、本の内容について、臓器提供 とか クローン とか、
視点はそこに行きがちだけど、そういうことじゃないんだ。と熱く語っていた。
人間の心情の描かれ方が素晴らしい・・人間と人間との交錯・・パラレルワールドを観ている
ようだ。と彼女は言っていた。

私は彼女の言葉がとてもひっかかり、早速本屋さんで本を購入し、3日で読み終えた。

本はドラスティックな場面が出てこない。ストーリー展開も、ドラマほど過去や現在に行ったり
来たりしない。静かに平和に児童施設の生活が描かれている。
ただひとつ、「提供」という謎の言葉がそこかしこに点在する。
私はドラマで知っていたけれど、知らないふりして読み続けた。

生徒たちのおしゃべりの中に印象深い部分があった。

「自分たちが理解できる少し前から『提供』という言葉を聞かされてきた。
そしてその行為の素晴らしさについても聞かされてきた。そのことよって、疑問を持つ前に、
『提供』が当たり前のこととして自分たちの中に落ち着いてしまったようにも感じる。」

それは本を読んでいると、読者の私にさえも同じような影響を及ぼす。
この恐ろしい『提供』という言葉が何度も繰り返されるうちに、じりじりと言葉そのものが
知らぬ間に体内に沁み込み、いざ本当の意味が分かった時にもショックが大幅に軽減された
ような気がするのだ。恐ろしいことだ。

子供たちは臓器提供という宿命と共に生活し、成長し、その極端な制限の中で、人間として生
を全うし死んでゆく。

ドラマだけでは受け付けられなかったことが、小説を読むことで、いいのか悪いのか、違和感
の塊だったものを咀嚼して落ち着くことができた。

やはり原作は読むべきだなと思った。

話はがらりと変わるが、昨日私は渋谷の音楽スタジオで歌を歌っていた。
去年の11月に、先輩のバンドライブで、「ホットフラッシャーズ」というコーラスグループ
の一員としてお手伝いさせてもらったのだが、私を含む3人のコーラスメンバーのうちの一人が、
このたびメインボーカルのバンドを再結成させたことで、残りの二人がコーラスとしてお呼び
がかかったからだ。

曲は、Valerie Carter のWhat's become of us と Lady in the dark。
Linda Ronstadt の Lose Again です。
コーラス楽しいです。4月のライブに向けて歌って暮します。













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