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日々の生活から気になる事柄やものたちを、日記を通して紹介していくサイトです。水曜日には「やわらかい英文法」と題して、英語に関することを載せています。(平成23年3月現在)
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アロマオイルの穏やかな香りに包まれながら、私の指が娘の掌をもみほぐす。
体温 呼吸音 わずかに動く指先 時々合う視線 すべてが愛おしい。
わずかに残された彼女の 「生」 を慈しみ ただそこにいる。
悲しくも幸せな 私の時間。

 娘が入院しているときから何度もお見舞いに来てくれている娘の友人、スガ あかりちゃん もっちん の3人が、連休最終日の22日火曜日に来てくれることをその2日前に聞いた。

おかあさんに会いたがってましたよ・・と、その時ヨッシイが笑顔で伝えてくれたので、
これまでは密を避けていたけれど、私も一緒にその場に参加することにした。

小学校 中学時代から知っている彼女たちがとても懐かしく、楽しく会話が進む。
会話に参加できない娘も、いつもより顔色も表情もいい。やっぱり友達に会うことが
嬉しいんだろう。

「あ~、チエコ様と話してるって今感じてます!」
とあかりちゃんが突然言った。
私は娘の一部の友達たちから いじられているのか親しみを込めて言われているのかわからな
いが「チエコ様」と呼ばれている。

娘が高校時代、チエコがああでこうでさ・・とスガに話していたら、傍にいた他の友達が
「チエコってだあれ?」と聞いたらしい。
それにスガがなぜか憤慨して 「よりによってあなたチエコ様を知らないっていうの?」
と言ったのが始まりだとかそうでないとか。

笑いのある会話がひと段落着いたところで、私は彼女たちに真面目なトーンで聞いてみた。

「忙しい中何度も何度も早希に会いに来てくれてほんとにありがとね。だけど・・早希
が少しずつ悪くなっていくのを目の当たりにするのは悲しくて辛くないの?大丈夫?」

するとあかりちゃんが伏目がちに言った。
「そりゃ悲しいけれど・・でも見た目は変わってしまったけれど、ヨッシイから普段の早希
ちゃんの様子を聞いたりして、早希ちゃんはそこにいる。私達の知っている早希ちゃんだ・・
って思える」

彼女たちは早希の中身を感じ、愛おしんでくれているのだ。

31年前 早希がお腹にいた時、私は赤ちゃんに会えるのを楽しみにしながら
色んなものを手作りして時間を過ごしていた。

パッチワークのおくるみ、ベビー服。そしてよくそんなもの作ったな、と今は思うけど、
純白のブロード綿でフリルのついた布団やベッドサイドガード(枠に赤ちゃんがぶつかっても
衝撃が少ないようにぐるりと取り巻く緩衝目的のキルト)まで手作りしていた。

蒲田のユザワヤ(巨大手芸用品店)帰りの目蒲線で、向かいに座っている方の新聞に、巨大な
文字で「昭和天皇ご崩御」と書かれているのを見つけたのは、今にも破裂しそうな大きなお腹
を抱えている、私 妊娠月9か月の時だった。

「私の生まれてくる赤ちゃんは昭和生まれじゃなくなっちゃうんだ・・」と思ったのを
鮮烈に覚えている。

赤ちゃんのための手芸本を何冊か買った私は、その一冊のあるページの赤ちゃんにくぎ付けに
なった。天使のように可愛らしいのだ。

現実の厳しさを知らない夢見がちなプレママは、「こんな可愛らしい赤ちゃんだったら
いいな・・」とため息をつきながらそのページにとどまっていた。

早希が生まれた。
私はびっくりした。だってあの手芸本の可愛らしい赤ちゃんがそのものだったから。

有頂天になりながら、まるで人形遊びをするかのように手作りの服を着せては早希の可愛らし
さを楽しんでいた。

その喜びが不安に変わっていったのは、彼女が思春期に差し掛かったころ。
周りが彼女の外見をほめる。まるで彼女自身が素晴らしいかのように。
それが人間形成に影響するのは必至だろう、そう思ったのだ。

「ねえ、私はコンプレックスで成長したのよ。あなた みんなに外見褒められていい気に
ならないでね。単なる偶然なんだから。勘違いしないでよ」

そういう私に、娘は ウザいな というような表情をした。

そんなことを言っていたくせに、娘が病気になって外見が変化していくことに辛く悲しい
思いを私はしていた。私の早希ちゃんが壊れていく・・彼女の外見を愛していたのは外なら
ぬ私だったのだ。

ある日ダンナが言った。
「早希ちゃんのポヤンとしたあの表情可愛くてね・・・」

今、早希ちゃんが心底可愛いと思える。
この気持ちの深さを自覚できる。

外見を通り越して、その人自身に到達できる愛情を感じられるか、自分にもその愛情を人に
感じてもらえるか・・が、人生の醍醐味ではないかと思える。

それは見た目に限らず、その人の地位 財力、才能さえも 今の私には単なる外見であると
感じてしまう。
それは地位も財力も才能も持っていない人間の嫉妬の裏返しなのでは?と言われればそれも
真実かもしれない。

それでも私は、例えば素晴らしい絵 素晴らしい文章に敬意を表することはあっても、
それを描いた人にその敬意を向けることはまずしない。
なぜならその人の人間性を知らないからだ。

全く利害関係のない関係性、利害関係フリーの純粋な愛情。
私は今、この愛情の深さに包まれていることで、生き続けている。

早希の写真を何枚かあげようかな、と思っている。
それは病気前の写真だ。
早希が存在していたことを人に知らしめたい。
でも同時に早希の内面を知らない人たちには、表面的な美しさだけを提示したい。
その美しさのイメージで記憶に残してもらいたい。

レモンの木が裸になりかけている。
だいぶ前に大きな青虫を見つけた。
そのままにしていたら数日で葉っぱを食べつくされた。

今の私はどんな小さな命もないがしろにできない。
共存 って 永遠の課題だね

ここに来て大きな問題が発生している。
実のお姉さんのように感じていたヨッシイママの「宗教」が再燃焼し始めたからだ。

次はそんなことを書こうかな
ではまた。




焦って貼り付けたら大きすぎて横になってしまった。
もう出かけなければいけないので、後でゆっくり直します。悪しからず






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